「どうする家康」で広瀬アリスさんが演じたことで話題になった於愛の方(西郷局)。
家康に寵愛を受けて2代将軍となる徳川秀忠を生んだ女性とはどのような人物だったのか。
苦労人で経歴が複雑な女性のため、切り分けて見ていこうと思います。
名前も聞いたことが無い!という方多い人物ですが、わかりやすく解説します。
於愛の方の出自
於愛の方は天文21年(1552年)に遠江国(静岡県)上西郷に生まれたとされます。
三河の有力な国衆・西郷正勝の孫娘で、父は遠江国の戸塚忠春、母が正勝の娘です。
後に西郷局(さいごうのつぼね)と呼ばれるようになります。
「上西郷」出身だからか「西郷家」ゆかりの女性いづれかの理由だと思われますが、定かではないです。
西郷家は、東三河八名郡(豊橋市西郷小学校周辺)を領有していた国衆で、正勝の時代は今川義元の傘下にありました。
そのため、於愛の方の母は、義元の命令で戸塚忠春へ嫁いだようです。
天文23年(1554年)於愛の方が2歳の時、
父、戸塚忠春が大森の戦いで戦死すると、祖父の西郷正勝の元に保護されました。
家康を救った、於愛の方の2人目の父
父、戸塚忠春が討ち死にした後、母は簑笠之助正尚と再婚しました。
幼い於愛の方でしたが、早くも2人目の父ができたわけです。
ちなみに、この簑笠之助正尚は、伊賀の服部平太夫正尚が改名した人物で、家康の「伊賀越え」を助けたとも伝わります。
伊賀の服部といえば、服部半蔵正成が有名ですが、別人で、近親でもはないと言います。
天正10年(1582年)6月2日、本能寺の変で織田信長が明智光秀の謀反により殺害されました。
当時、徳川家康は和泉国堺に宿泊しており、本能寺の変を知らされます。このままでは、明智勢に殺害されると、急ぎ帰国を決定します。
その際に、伊賀者であった正尚は家康を自分の蓑や笠で変装させ無事帰国させ、その働きから「簑笠之助」の名前を授かったそうです。
於愛の方の初婚
於愛の方に話を戻します。祖父、西郷正勝の保護を受け、簑笠之助正尚の養女となった於愛の方は、無事に成長します。
成長した於愛の方は、正勝の嫡孫であり、従兄弟の西郷義勝と結婚し、一女を儲けます。
しかし、元亀2年(1571年)、武田氏の秋山虎繁が三河へ侵攻した際に設楽郡竹広で戦った竹広合戦で、武田軍を一時的に退ける事に成功するものの、義勝はこの戦いで命を落としました。
義勝の死を受けて、養父、簑笠之助正尚の元に身を寄せました。
徳川家康が於愛の方に一目惚れ
天正6年(1578年)、徳川家康が簑笠之助正尚の屋敷を訪れた時、於愛の方を見初めたと言います。
相当気に入ったようで、そのまま浜松城へ連れ帰ってしまったようです。
於愛の方は読書好きだったため、極度の近眼でした。
美人でさらには頭もよく、家康と話が非常に合ったのではないでしょうか。
於愛の方の墓がある宝台院のホームページには以下のように於愛の方の人物像を評しています。
性格も明るく、家康が一目ぼれしたのだろうと想像します。
西郷の局は、27歳より家康公に仕え浜松城にあり、家康公の三方ヶ原の戦い、設楽原の戦い、小牧長久手の戦い等、家康公の最も苦難の時にあった浜松城の台所を仕切った人で、三河武士団に最も人望のあった糟糠の妻だった方です。
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その後は、叔父の西郷清員(きよかず)の養女となり、家康の側に使えました。
家康は、昧見姫(くらみひめ)と呼んで非常に可愛がってたようで、
この頃から家康の指示で西郷局と名前を改めています。
2代将軍 徳川秀忠の出産
天正7年(1579年)4月7日、浜松城において、3男の徳川秀忠が誕生しました。
幼名は長丸です。
ちなみに、この時はまだ長男であり嫡男の信康(母は築山殿)が存命だったので、秀忠が跡取りになる予定はありませんでした。
天正7年(1579年)8月に家康が築山殿を殺害、9月に信康を殺害されます。(築山殿事件、信康事件)
秀忠の誕生が家康にこの判断をさせたと言われていますので、於愛の方が歴史を大きく動かしたことは間違いありません。
天正8年(1580年)9月には4男の東条松平忠吉(幼名は福松)も誕生しています。
しかし、天正17年(1589年)5月19日、浜松城から駿府城へ移住した心労が重なったのか、38歳の短い生涯を閉じました。
一説によると、殺害された家康の正室・築山殿に仕えていた侍女による暗殺、毒殺という説もありますが、定かではありません。
まとめ
以上、於愛の方について解説しました。
小さい頃から、肉親が戦いで命を落とし、様々なところへ身を寄せた女性でした。大人になり、結婚するも夫に先立たれますが、家康に見初められて、将軍となる徳川秀忠を出産します。
38歳という短い生涯でしたが、家康や徳川家を支えた素晴らしい女性でした。
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