江戸で出版業界が発展したのは、江戸時代中期。
印刷機がなかった時代のため、様々な登場人物が協力して本を出版しました。
その中心となった人物が蔦屋重三郎です。
今回は蔦重が活躍した江戸時代の出版業界について解説します。
江戸時代の本の販売点数の推移 中心地は上方から江戸へ
江戸時代初期の経済・文化の中心地は都があった京と大坂の上方でした。
そのため、1700年代前半は江戸の出版物は少なく、ほとんどが上方(京都と大坂)の出版物でした。
当時の江戸では、上方で出版された本(=下り本)を販売する形態が普通です。
潮目が変わったのは、江戸が100万人都市となった、江戸中期頃(1750年頃)。
人口増加による需要増と独自の文化(洒落本や黄表紙)の発達にも背中を押され、江戸の本の販売も急増し、上方を上回りました。
ちょうど江戸に出版業界の中心地が移り始めた、寛延3年(1750)に生まれた2025年大河ドラマの主人公・蔦屋重三郎は時代の申し子と言えます。
江戸時代の小説の系統
江戸時代は上方・江戸ともに町人文化が花開いた時代です。
その象徴が小説のジャンルで、大きく発展しました。
この章では、江戸時代の小説の3系統をまとめます。
ちなみに、蔦屋重三郎があつかった小説のジャンルは「洒落本」と「黄表紙」です。
販売形態と商品の違いによる江戸時代の本屋
江戸時代の本屋には様々な種類がありました。
販売の形態と取扱商品によって、呼び方が異なります。
特に現代の本屋は、できあがった本を販売するイメージですが、
江戸時代の本屋は出版社と販売会社の両面をもってました。
各グループを下記にまとめます。
江戸時代の本をつくる工程
企画から販売まで一括した江戸時代の本屋ですが、実際に本をつくる工程を紹介します。
また、江戸時代では現代とは異なり、印刷機がなかったため、多くの登場人物が協力して1冊の本を製作していました。
【本ができるまでの流れ】
- 企画・執筆依頼
版元から作者へ依頼
- 草稿の作成
作者により実施。
作者から絵師への要望をまとめる。
- 木版を彫る元の版下絵の作成
絵師により実施。
- 検閲
本屋仲間により実施。
- 版木を彫る
彫師が実施。
- 完成した版木から紙に摺る
刷師が実施。
- 製本・販売
版元が実施。
まとめ
以上、江戸時代の出版業界について解説しました。
江戸時代初期は上方が文化の中心でした。
しかし、中期頃に入り、江戸の人口が100万人を超えたことで流れが変わります。
江戸が文化の中心となり、
小説は「洒落本」「黄表紙」へと発展していきました。
当時の本屋は企画から販売まで担当しており、絵師や彫師など多くの登場人物が協力して1冊の本を作ってました。
その中で、大河ドラマの主人公・蔦屋重三郎はプロデューサー的な役割である版元として活躍した人物です。
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